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イメージを読む【美術史入門】

イメージを読む【美術史入門】
「イメージを読む【美術史入門】(若桑みどり著 ちくま学芸文庫)880円(税抜)

最近はめっきり美術館やデパートで行われる美術館に足を運ばなくなっていまいました。というか美術に興味が湧かなかったからですが、やはり目を肥やすには実際の絵をこの目で観る必要があるかな?と心がけるのですが、どうも腰が重く足が運びません。
その理由としては、絵を観るには時間をかける必要があり、導線にしたがって観ていくのですが自分と他人のペースが合わない。遠目で引いて観ようとすると、必ず絵に目をこすり付けるように観ている人がいて思うように観れないからです。まぁ自分で絵筆を持つ人は、その画家がどんなタッチで筆を使っているかとかを観る必要があるかもしれませんが…。ましてや有名な画家の展覧会にもなると普段興味が無い人でも一目観て置こうと足を運んだりするわけです。その場合、絵を鑑賞というよりは、「有名な作品をリアルで観た」ということが主眼になると思います。
一般の方の多くはこのように「有名な作品をこの目で観たい」とか、「美しいものが観たい」とかで結構なのです(実際にこの目で観ないと立体感やスケールなどが感じられません)。
実際、絵画には色んな見方があると思います。まず、画家自身、そして印象派とかの年代・分類、技法など。その中で本書では、その絵にどんな意味や思想が含まれているのか?ということを取り上げています。
取り上げているのは
●ミケランジェロの「システィーナ礼拝堂の天井画」
●レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」
●デューラーの「メレンコリアⅠ」
●ジョルジューネの「テンペスタ<嵐>」
で、北海道大学で行われた5日間の教養の講義とNHK文化センターで開かれた講義を元に編集されています。

サブタイトルに「美術史入門」とあることから入門書としての位置づけですが、絵画に興味があり、これから深く勉強して名画のモチーフがどんな意味を語っているか知りたい方にはまさしくうってつけの本です。

これは何にでも言えるのですが、絵画作品には表面に現れない隠されたものは沢山あります(絵画だけとは限りませんが)。時代背景、宗教・作者自身のこと、そして、そのモチーフがどんな喩えで使われているのかどうかを知ることを図像学(イコノグラフィー)といい、人類の総合的な歴史のなかに芸術の歴史を関連付ける。このことを図像解釈学(イコロジー)と呼んでいます。本書はルネサンス時代の画家を取り上げていますが、やはりこの時代の絵を語るにはキリスト教という宗教を抜きにしては語れません。それはキリスト教布教のためにはイメージを使用したほうが効果的だからです。ましては中世の文盲率は高く、聖書が読めない人は沢山いたからです。本書では同じ宗教画でもルターが登場し宗教改革で混乱した世相とそれ以前では様式や雰囲気が全然違うということを書いています。

まぁこれは絵画でも映画にも言えることですが、西洋のものを観る時は良くも悪くもキリスト教とかユダヤ教、そしてそれらの関係とかアレゴリー(寓意像)を理解していなければ本質が見えないことがあります。
その本質を知るためのきっかけを本書が与えてくれると言えばいいでしょうか、特に「モナ・リザ」の解釈は一読の価値があると思います。
本書では、これはキリスト教ではこういう意味があります。とかこれは何々の喩えです。とキリスト教のシンボル的なものの説明が少し解説してありますが、本格的に知ろうとすれば、やはり「キリスト教シンボル事典」などが必要になるでしょう。

最後に、「確かに作品の理解には心理学は有効な方法です。われわれはもっと進んで共同研究をしなければならないでしょう。とくに図像学があまり役に立たなくなった現代美術の理解には不可欠です。」と若桑みどりさんはおっしゃっています。僕がユング心理学に興味を持ったのは、まさにそれでユングのいう「集合的無意識」「元型論」がそれを開く鍵になるのではないかと考えているのですがどうでしょう?

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